ピッキング防止法：防犯対策＠知識集

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ピッキング防止法

　近年、住宅性能の重要な項目の一つとして防犯性がクローズアップされてきている。従来防犯性に関しては法的な義務も公的な指針も存在しなかったのだ。
　２００３年９月に成立した「特殊解錠用具の所持の禁止などに関する法律」（通称ピッキング防止法）についても、実際に施工者側が履行しなければならないような用件を示したものではない。

　住宅侵入窃盗を含む犯罪の発生件数は増加の一途をたどるにもかかわらず、検挙率は極端にて課している。複雑化、凶悪化する手口に警察の対応が追いつかないというのが現状だ。
　とくに外国人窃盗団などの暗躍が従来にない、プロの鍵屋の技術を駆使する手口の蔓延を生んでしまった。

　こうした手口を具体的に禁止することで、犯罪の発生自体を抑制し、犯人の検挙を容易にすることが同法の主旨で、ピッキング防止法と呼ばれる所以なのだ。警察庁が従来の方針を転換しようという姿勢が明確に現れた法律だといえる。この法律はおおまかに二つの骨子をもっていて、
　１、解錠に使用される用具の所持の制限
　２、指定建物錠の性能表示の義務
である。

　解錠用具の制限については、業務にかかわるもの以外の所持、売買の原則禁止を謳っている。禁止される用具は「特殊解錠用具」と「一般解錠用具」に大別される。これを業となすもの意外が規定される用具を理由なく所持していると罪に問われてしまう。
　さらに今まで野放しであった、インターネットなどにおける同用具の販売、転売の規制も盛り込まれているのだ。

　一方、今回建築業者に直接関連するのが、特定侵入行為の防止にかかわる師弟建物錠の性能表示義務の部分なのだ。
　これは、玄関などの建物の外周部に設置する建物錠のなかでも、シリンダー錠・シリンダー･サムターンを指定建物錠と定め、その防犯性能の表示をメーカーや輸入業者に対して義務付けるというものである。

　表示を拒んだ場合や、虚偽の申告をした場合は国家公安委員会より改善命令が出される。それでも従わない場合は立ち入り検査や、罰金などの罰則がある。
　また、緊急に対策が必要な手口が報告された場合にもメーカーに勧告が行われ、従わなかったときにはそれが公表される場合もあるのだ。

　かつては多くの人がキーでロックできればすべて錠だと思っていたが、シリンダーやかんぬきなどの性能の格差が存在するということは先般のピッキング手口などの蔓延で照明された。にもかかわらず、無頓着な建主や施工者は多い。

　今回のほうでは罰則規定はないものの、「錠取り扱い業者」に対する「ユーザーに対する防犯性能の通知責任」も謳っているのだ。業者はいわゆる鍵屋や小売業者、サッシ業者などの販売、施行業者を指すが、講義的には設計者や工務店まで含むと解釈されたい。

　管理者の面からも従来のように「カタログに載っていたから」「メーカーが薦めるから」「納まりがいいから」という理由だけでは到底許されない。ましてや、単価が安いからという基準で玄関錠を選定するという行為はナンセンスだ。まあユーザーが安価なものを希望する場合も多いが、値段だけでは決めたくはない。

　法自体は、２００３年の９月から施行されているが、上記の性能表示義務の内容については、２００４年の春ごろを目安に公示される方向で作業が進んでいる。そのため、現時点で、試験内容や表示形態、品目詳細は不明であり、どういった形になるかは今後の動向に注目しよう。