ようやくはじまった基準づくり：防犯対策＠知識集

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ようやくはじまった基準づくり

　わが国では錠前やシリンダーに関して、公的な認定規格が存在しなかったわけであるが、従来から各団体により、独自の安全基準による認定精度がいくつか存在していた。まず
　JLMA規格
　日本ロック工業会（JLMA）による自主基準。JLMAは、国内の錠前、錠前部分製造、輸入業者のほとんどが参加する工業団体で、錠の耐久性や耐破壊強度などの標準化のためのガイドラインを示している。

　このように、従来からも国内には錠の安全基準と呼べるいくつかの認定制度が存在してはいたが、ユーザーや設計・施行業者にひろまることはほとんどなかった。

　ピッキング騒動が起こる前は、施錠できればすべて鍵である、価格が安いほうがいいとか施工が楽なほうがいいとかそのような意識がほとんどであったと思われる。

　玄関錠の導入を検討するにあたって、まず知っておくべきことは、2003年9月に施工された「特殊解錠工具の所持の禁止等に関する法律」（ピッキング防止法とも呼ばれる）のなかに以下の文章である。

　第7条　国家公安委員会は建物錠（その部品を含む。以下同じ）のうち、防犯性能の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの（以下「指定建物錠」という。）について、指定建物錠の種類ごとに、次に掲げる事項を定め、これを告示するものとする。

　１　指定建物錠の防犯性能に関し建物錠の製造又は輸入を業とするもの（以下「製造業者等」という。）が表示すべき事項
　２　表示の方法その他防犯性能の表示に際して製造評者が遵守すべき事項

　この法律は、玄関錠に関してピッキング、カム送り解錠、サムターン回し、ドリルやドライバーなどによる破壊の手口に対する強度を認定し、性能表示を義務付けるもので、今後は玄関に使用することができる錠ということが、消費者にも明確に判断できるようにするものなのだ。

　また、現在進められている「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」の動向についても注目したい。

　これは2002年より警察庁、国土交通省、経済産業省の3省庁と民間の１５の工業団体などの間で協議されている新防犯指針のことで、錠以外にも金属・アルミ製建具、各種シャッター、ガラスおよびウインドフィルム、雨戸や面格子などに対してクリアすべき基準を示し、適合商品を認定し、リスト化することを目的としている。

　「指定建物錠の性能表示」および「官民合同会議」ともに、実施については2004年の春ごろであった。国が錠の性能に関する公的な基準を設けたことについては、一定の評価をあたえることができる。

　今まではJIS（日本工業規格）などに代表される「サイズの国内標準規格」さえもなかったため、欧州のプロファイル規格などのように、複数メーカー間でのパーツの共用さえままならず、ユーザーだけでなく、施工者側からも改善が求められていたのである。

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