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施錠の基本はかんぬきであり、これの数が多いほど強い扉が実現できる。
なかには、一つのシリンダー操作で、多方向に複数のかんぬきを同時にかけることができる錠もあるが、基本的にはシリンダー一個に対してかんぬきはひとつしか装備されない。既存のほとんどはドアが1ロックで、その弱さを補うために錠自体の数を増やして、補助錠と呼ばれる、本締錠を設置するのである。
補助錠を設置することにより、錠の破壊や不正解錠の手間をかけさせるだけでなく、扉をバールなどであおって破壊する大掛かりな手口に対しても構造的な耐久度が増すことになる。
欧米では一枚の扉に複数のかんぬきを仕込むことは常識であるが、多少材質や強度が弱い扉であっても、構造体としての強度をますことで進入防止につながることを経験的に知っているからである。
補助錠には、面付け錠と箱錠の二つがある。既存の扉に後から設置する場合は、面付け錠が採用される場合が多い。理由は、設置の手間が簡単というのもあるが、国内の扉の開き方にある。
わが国で標準とされる外開きのドアの場合、掘り込みタイプの錠の設置だと、かんぬきが扉と戸枠の隙間から丸見えになり、施錠状態の確認や、こじ開けのターゲットになってしまう恐れがある。その点面付けタイプだと、部屋の内側にかんぬきが露出する構造になり、直接かんぬきなどを攻撃することが困難になるので、安全度が増すというわけである。
商品としては、複数のメーカーからさまざまなものが発売されているが、いかのポイントから選択することが必要であろう。
1、シリンダーがもぎ取りにくい
2、かんぬきが側圧に対して変形しにくい
3、本体の扉への固定が強固
特に3、についてはマンションや一般家庭で多用されている軽量スチールドア、アルミドアなどでは、直接ビス打ちをしても十分に聞かない板厚しかないので、下地の設置や、表プレートと本体を引き足し構造にするなどの工夫をしなければならない。
まれに補助錠をつけるために、ドアに穴を開けると、構造体としての強度が下がるので好ましくないという意見も聞かれるが、一般的な玄関ドアであれば、強度の低下以上にあおり、こじ開けに対する耐久性があがるので、特に気にしないでいいだろう。
なお、最近はいろいろな形態の補助錠も販売されているが、必要な強度試験をうけていない錠は不十分であり、設計段階からの導入には注意が必要である。
CP認定制度では、面付け錠のかんぬきに対する基準が定められており、かんぬきの長さが13mm以上、垂直加重による押し込みの耐力とこじあけにたいする側圧耐力がともに3000N(ニュートン)以上必要とされている。
なかには、バックアップシリンダー(非常時用の解錠装置)を装備していない、リモコン操作式の補助錠というのもある。外部に解錠装置(鍵穴)などがないため、ピッキングなどに強いなどと謳っているが、逆に故障時にはドアを破壊しなければ、居住者さえも入室できない。
当然アナログよりも電気系統のほうが不具合が多い。建物部品として考えた場合、このようなメンテナンスが必要なものについては問題があるだろう。まあユーザーの好みにも分かれるところであろう。
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